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〇〇上手く出来ないヤツのスノーボードはつまんない
SPINSPINはこれまでに多くのプロライダー達と交流してきたが、様々なライダー達と接するなかで、ライダーに共通するある法則のようなものを見つけた。
その法則は一聞しても「いやいや関係ないでしょ!」と言う人もいるかもしれないが、長くスノーボード業界に携わってきた筆者が目と耳、そして肌で感じた確かな感覚だ。
濁す事なくハッキリと言おう。
『下ネタつまんないヤツ、滑りもつまんない』
「関係ないっしょ」と言う声の反面、「わかるわ」と言う声も多いはず。
ここで注釈を入れたいのだが、「下ネタつまんないヤツは滑りが下手」と言っているわけではない。「滑りがつまんない」のである。このニュアンスの解釈は難しいところだが、分かる人には分かると信じている。
「滑りがつまんない」と言うのは「見ていてワクワクしない」「クリエイティブを感じない」「型にハマった既視感ある滑り」と言っても良いだろう。
これは上手い下手とは別の観点だ。
そして「下ネタつまんない」、この解釈も難しい。
筆者の思う面白くない下ネタとは、「ダイレクトに想像させるストレートな言い回し」「配慮にかける」「オシャレじゃない」ものだ。
以前こんなことがあった。
ある若手の男性ライダーがジャンプの着地でお尻を強打し、肛門が開いて悶絶している。これはスノーボードでは誰しもよくあり、また最も「お尻関連の下ネタ」で沸きやすいシチュエーションだ。「お尻が二つに割れた」と言う古来より使い古されたテンプレートを皆さんもご存知なはず。
そこで悶絶している若手ライダーに先輩ライダーが声をかけた。
「アナル開いたの?ついでに⚫️⚫️にズボズボしてもらえよ!笑笑」
※⚫️⚫️はその場にいた女性ライダーの名前
分かりますかこの品の無さ。
この先輩ライダーは「ズボズボ」と言う表現や女性ライダーを絡ませることが面白いと思ったのだろうが、これは直接的かつセクハラど真ん中過ぎてまったく笑えない。
「うんこちんこ」で笑っている小学生と同じ、いやむしろ大の大人が口にする分余計に汚く聞こえてしまう。
若手ライダーと女性ライダーは先輩に気を使っての苦笑いである。
これが面白いと思った&この変な空気に気付かないこの先輩ライダーが果たしてクリエイティブで観る者をワクワクさせる滑りをするだろうか?
出来るわけがない。
「たかが下ネタ」と侮ってはいないか?
下ネタを発信するにはそこに誰がいて、それぞれのキャラ、性格、関係性と言った状況把握を瞬時にした上で、直接的で汚くなってしまわないようにオブラートかつフックを効かせたウィットなパンチラインを紡ぎ出さなければならない。
普通の話題よりも下ネタで場を盛り上げる方が遥かに難しいとも言える。
「状況把握とパンチラインを瞬時に紡ぐ」
これまさにスノーボードそのもの。
つまり難しい下ネタをさらっとこなす人物ならば、スノーボードもクリエイティブで個性的であるのは必然なのである。
実際に筆者目線では、この先輩スノーボーダーは上手ではあるが見ていてつまらない、と思っていたのは悲しいかな紛れもない事実だ。
この先輩スノーボーダーがとるべきだった行動はただひとつ。
つまんねーんだから下ネタ言わなきゃ良いのである。センスのない人の下ネタほど耳障りなものはないのだから。
おっと、「そこまで言うならあんたはどうなの?」と聞こえてきそうだ。
当然筆者も当時その場にいて、先輩ライダーがおかしくした空気を和らげるべくその後下ネタを繰り出している。
その刹那、筆者が瞬時に考えたことは、
①そもそも下ネタ自体に拒絶反応を示す人もいて、その場にいるメンバー全員の下ネタ耐性は不明。つまりなるべくオブラートで優し目がベター。
②旬なモノを取り入れることで全員が共通認識を持って耳を傾けてくれる。その時、今では令和の一発屋として名高い瑛人の「香水」という曲がスキー場でしつこいくらい流れていた。
この2つから瞬時に紡ぎ出され口をついて出た筆者渾身の下ネタが
「アナル&ガッヴァーナ?」
「う〜ん、、いや〜、、、そうっすね」って言われました。